ボードゲームレビュー


エルサレム ☆☆☆☆☆☆☆☆ 

中世のエルサレムの有力者となり,権力を高めよう。困難を打破し,高い塔を建築して力を見せつけよう。

エルサレム

ボードはこんな感じ。エルサレム市内に,宮殿・市場など6つの地域に分かれています。それぞれの地域に勢力を伸ばすことが基本。要するに陣取りです。最初は12ビザンツと支配者コマ1こでスタート。

エルサレム

毎ラウンド,プレーヤーをサポートする役人を選びます。これが苦手な競りで選ぶのです。ここで,手番順と自分のターンにもらえる従者コマの数などが決まります。早いとたくさんのコマがもらえ,遅いと少ない。しかし,遅い分,前にプレイした内容を踏まえてプレイできる分有利なことも。

エルサレム

最初に競り落としたプレーヤーから3枚のアクションカードを見て,1枚選びます。これは,左から2勝利点,1ビザンツと1従者コマ,市場へ従者2個配置のカード。取ったら次のプレーヤーは2枚見て選ぶ・・・と続きます。このカードのおまけも結構効いてきます。

エルサレム

さて,手番にやることは,各地域に従者コマを置いて勢力を上げること。大きく6つの場所と,そのうち1カ所を除いては更に3つの場所に分かれています。ここでの勢力の強さによって,名声点,お金,従者コマがもらえるので,どこに置くのかとても考えどころです。

エルサレム

このゲームの一番の目的は,こんな風に塔を高くしていくこと。ゲーム終了時に最も高い塔を持っていると勝つことができます。この塔は毎ラウンドたまった名声点を使って必ず可能な限り建てなくてはなりません。

エルサレム

名声点を得るためには,お金もあった方が良いし,もちろんコマもたくさんないと陣取りに勝てません。この3つのバランスをとることが難しい。また,陣取りのため,後手番はもらえる駒数は少ないですが,前に置いてあるコマを見て,必ず勝てるところへ配置できるのは強みです。ただ,支配者コマというのを1個ずつ持っており,それが置かれていると後からコマを置くことができなくなります。そのあたりの駆け引きもなかなか悩ましいところです。

エルサレム

2,3,4ラウンドの終わりには,あまりうれしくないイベントが起こります。サラセンの軍と戦い宮殿のコマがいなくなるなど,ある区域のコマを減らすイベントが起こります。減らされると勢力バランスも変わるため,力関係に変化が出るのがおもしろいですね。

エルサレム

こうして5ラウンドが終了し,何とか自分は,6段まで塔を建てることができましたが・・・

エルサレム

ゲーム終了,赤は5段まででしたが,最後に青にも6段まで建てられました。そうすると,残った名声点勝負になり,何と2点名声点足りず,またしても惜敗・・・うーーん。
※2011.6

基本,陣取りですが,いろいろ工夫がされていて結構気に入りました。陣取りの結果が,手持ちの駒数,お金,名声点と3つに絡んでくるので,どこを押さえにいくか,1つだけ置けてその場所を封鎖できる支配者コマをどこに使うか,手番順を決める競りでどこを狙うか,アクションカードによるおまけの効果やイベントカードによる勢力図の変化などにより,単なる陣取りゲームでは終わらないシステムの良さが見られます。ここでは記していませんが,塔の建築や支配者コマの配置については,トップのプレーヤーには厳しくなるルールもあって,かなり戦いが拮抗してくるのも,最後まで勝負の行方は分からなくておもしろいこところです。広くお奨めできる作品です。
※2011.6.27

エルサレム(Jerusalem) ゲームデータ

エルサレム
○デザイン Michele Mura
○発  表 2010年
○メーカー Elfin Werks
○2〜4人用 約60分
○難易度  やや高め
○ドイツ・アマゾンで購入(約28ユーロ)