ボードゲームレビュー


パケット・ロウ ☆☆☆☆☆☆☆ 

 1842年のニューヨーク。現在は史跡となっているサウス・ストリート・シーポートには、定期船が列をなして出入りしていました。待機している船の多さに、このエリアは「定期船の列(パケット・ロウ)」として知られるようになりました。プレイヤーは貿易会社を経営し、大西洋貿易で利益を稼ぎます。しかし、お金持ちになるだけではゲームに勝てません。街のために利益を還元し、勝利点を得なければいけないのです。

パケット・ロウ

 2人でのプレー。やること自体はとてもシンプル。4カ所あるゲームアエリアから欲しいカードを手に入れていくだけ。無料のカードもあれば,コインが必要なカードもあり。後はコインで勝利点を買ったり,商品を輸出して勝利点を得たりと。

パケット・ロウ

 市場では主に産物が手に入り,市役所では主に契約や勝利点が手に入ります。

パケット・ロウ

 波止場では船や勝利点などが,銀行ではお金や勝利点などが手に入ります。

パケット・ロウ

 ただし手番の回し方に独特のルールがあります。港湾長となったプレーヤーが一カ所のエリアを選び,他のプレーヤーにそこにあるカードを取るかどうか尋ねていきます。相手は取ったり取らなかったりするのですが,最後に港湾長自身がそこから取るか,別のエリアに変えるかを選択。ここで取ることにした場合,そのラウンドは終了で,取るのをやめたプレーヤーは何も得るものがありません。港湾長がエリアを変えた場合は,取らなかったプレーヤーにもまだチャンスはあるという。文字にすると分かりづらいですが,互いにどのエリアをねらっているのか,読み合いが楽しいところです。港湾長が欲しくても,先にカードを取ることができるのは相手なので,欲しいカードがかぶっていると自分のカードにならない・・・。

パケット・ロウ

 船と契約と商品で輸出ができます。これでかなりの金額を稼ぐことができるので,行き先,契約,商品の対応をうまく導くことが重要。一部特殊カードでやりくりできるものの,3つがうまく揃わないと結構辛いものがあります。

パケット・ロウ

 こんな風に貿易商のカードを使うと商品を別の種類に変えることで輸出が可能になることもあるので,お助けカードもそれなりに持っていると役に立ちます。

パケット・ロウ

 二人プレーの場合,どこか一カ所エリアのカードが補充できなくなるとゲーム終了。ここでも,どこで終わらせるかをある程度コントロールできるので,後半の駆け引きもあります。

パケット・ロウ

 何もないと10金で1点なので,輸出の度に勝利点カードを買っておく方が得点になります。接戦の末,何と1点及ばず残念ながら敗退。この後の2戦目は2点差で勝利。いずれにしても拮抗するようです。

 欲しいカードがかぶっているようなら,違うエリアを選択してカードを取らせておいて,自分は別のエリアで取る,などとうまくいけばいいですが,相手もこちらの動きを読んで,待たれると,結局先に取られることにもなります。このエリアを選ぶのは自分だけど,取るのは相手が先で自分は最後というのが,悩ましいところです。そこをかいくぐり,いかにうまく商品を集めて運ぶか,手札管理の妙が楽しめる好作品です。
※2014.6.29

パケット・ロウ(Packet Row) ゲームデータ

パケット・ロウ
○デザイン Henrik Berg/Åse Berg
○発  表 2013年
○メーカー White Goblin Games
○2〜5人用 約45分
○難易度  中ぐらい
○アークライト・ゲームズで購入